ワイ「ち、チノちゃん! 放射線激しくしないで!」 チノ「うるさいですね……」制御棒シコシコシコ

ワイ「あ、あぁ~ッ!」 警報ピコピコピコッーッ! 

チノ「はい、今日の出力較正試験は終わり。お疲れさまでした」 

ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」 

昭和49年8月26日、念願の日本原子力船開発事業団に就職したのだが、『陸奥湾で原子炉を試験すると皆放射線にさらされるのでは』 
という懸念の声があり、結果、チノちゃんが太平洋沖で原子炉の制御棒シコシコしてくれるようになった。しかしチノちゃんはなんだか 
ワイのことがキライみたいで、いつもいつも不愛想に制御棒シコシコして、原子炉リンカイリンカイなのだった。 

ワイ「トホホ……チノちゃん可愛いのに制御棒シコシコはリンカイリンカイなんだから……あーあ、どうにかしてチノちゃんの放射線ピュッピュをやさしくて気持ちいものにしてもらえないかな~、ん?」 

遮蔽されているはずなのにチノちゃんの原子炉から中性子線が漏れている。

チノ「よいしょ……よいしょ……」 

ワイ(ち、チノちゃんから、基準値の100倍ガンマ線と10000倍の中性子線が漏れ出している!?) 

チノ「ふぅ……こんなものですかね……。もっと出力を上昇させられるように頑張らないと……」 

ワイ「チノちゃーん!」 バターンッ! 

チノ「ひゃあッ!?」 

ワイ「チ、チノちゃーん! ごめんよーッ! チノちゃんは毎日ワイのために制御棒シコシコの試験してたのにワイはそんなことも知らずに……ッ! 
  ピコンッ!ピコンッ! チノちゃんの原子炉真上の数値ヤバイ!」 

チノ「ど、ドサクサにまぎれてメーターで測定しないでください!」 

ワイ「ご、ごめんねチノちゃん……!」 

チノ「べ、別に、放射線出すくらい普通です……。それが原子力船の宿命なんですから……。でも、私には構造に欠陥があって、あんまり放射線遮蔽できてないから」 

ワイ「ふ、普通なんかじゃないよ! チノちゃんの出力は1.4%なのに放射線が基準超えてるんだよ! あっ、そ、そうだ! チノちゃんマスコミ出して! 」

チノ「こ、この10人くらい乗船している報道関係者ですか?」 

ワイ「そう! それじゃあ今からで放射線漏れ発表するからね! チノちゃんの欠陥原子炉に世間にドッピュするからね! ちゃんと現実受け止めてね!」 

チノ「えっ、えっ?」 

ワイ「ウオーッ! チノ! 遮蔽リングの欠陥から中性子出てるぞ!」ドピュドピュドピューッ! 

チノ「ひゃあッ!」ビシャーッ

ワイ「くっ、ふぅ……! す、すっごい母港からの反発が出たぁーッ!」 

チノ「ほんとうです……で、でもなんで……?」 

ワイ「それはね……チノちゃんの危険性が、漁民に伝わったからだよ! チノちゃんの原子炉から発生する恐ろしさがね!」 

チノ「原子力の恐ろしさ……」 

ワイ「そう! だから、技術開発なんて、二の次なんだよ! 制御棒シコシコの結果が、母港からの寄港拒否だよ!」 

チノ「き、寄港拒否って……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、航海に付き合ってもらってもいいですか?」 

ワイ「もちろん!」 
その後、ワイは54日間チノちゃんと共に漂流を続けて二度と起き上がれないほど疲弊していた。 
でもまぁ、昭和49年10月15日、母港の変更と地元に金銭を払うことを条件に、寄港できるようになったので結果オーライ! 終わり